神奈川県の丹沢山地の稜線(りょうせん)で、4月に餓死したとみられるニホンジカの死骸(しがい)が相次いで見つかった。丹沢には推計3700~4500頭のシカが生息し、自然の許容範囲を超えていると指摘されている。増えすぎたシカがササ類を食べ尽くして山が荒れ、慢性的な飢餓状態にさらされ力尽きたとみられている。
最高峰・蛭ケ岳(ひるがたけ)(1673メートル)にある蛭ケ岳山荘の管理人、杉本昭さん(59)によると、周辺では4月下旬に7頭のシカの死骸が見つかった。5月下旬になっても登山道真ん中には、ひづめのついたシカの足の骨が転がっており、白や茶色の毛が散乱していた。登山道から5メートルほど入った場所などにも、白骨化したシカの死骸が横たわり、周辺の樹木の皮は大きくはがされていた。
杉本さんは「季節外れの雪が降った4月下旬に死んでいた。野生動物は通常は人間の目につかないところで死ぬ。登山道で見つかるのはそれだけ、山全体で多くのシカが餓死したのではないか」とみる。
丹沢自然保護協会の中村道也理事長によると、東丹沢の林道周辺でも3~4月に10頭のシカの死骸が見つかったという。
神奈川県内のシカは戦後の乱獲で激減し、県は1955年に狩猟を禁じた。国がスギやヒノキの植林を進めた時期で、シカは植林した苗木を食べるなどして爆発的に増加。県は人工林の周囲に柵をめぐらせてシカを追い出し狩猟を解禁した。追われたシカはより高い場所に移動。山頂付近で希少植物まで食べ荒らしている。
羽澄俊裕・野生動物保護管理事務所長は「栄養状態の悪い丹沢のシカは以前より角が小型化し、硬い樹皮を食べるので、臼歯がすり減っている。山もシカも極限状態だ。シカの数を減らすと同時に、山の中腹にシカがすめる環境を取り戻さなければ、山もシカも守れない」と警告している。【足立旬子】
ニホンジカ 北海道から九州まで生息。縄張りを持たず、条件に恵まれると限度なく増えるため、生態系に強い影響を与える。天敵のニホンオオカミが絶滅し、雪が少なくなったこともあり、知床(北海道)、奥多摩(東京)、大台ケ原(奈良)、屋久島(鹿児島)などで増えすぎが問題となっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070605-00000024-maip-soci
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